キッカケは不意に訪れて
昨日はある朗読劇を鑑賞しに江古田へ。
この場所はちょっとした理由でとても懐かしい場所なので、少し早めに街に着きしばし散策。
覚えているものや、覚えている気がするものを横目に、会場であるギャラリーへ。
今回観るのは、
“ねがわくば ~欲をつむぐ、語りとしらべ~”
知り合いが出演しているので、という理由が観に行こうと思った入口なんだけど、当日含め、この数日僕のメンタルはあまりよろしい状態ではなかった。
今思えばとても些細なことではあるのだけれど、ちょっと“人”と距離を置きたいな、なんて思ってた。
そんな状態で行くのを躊躇わなかったと言えば嘘になるんだけど、それでも、普段あまり身を置かない“非日常”の空間が、何か思いもよらなかったベクトルから刺激をくれるのではないか。そんな淡い期待を胸に向かうことを決めた。
結果、予想以上に刺激をもらえたし、何なら勝手にパワーももらえた気がした。
月並みな言葉で言えば“感動した”この朗読劇の感想を、ちゃんと書き記しておきたいなって思ったのが今回このブログを書くキッカケ。
それでは記憶が冷めないうちに、つらつらと。
『注文の多い料理店』
メインで話されたお二人の、「普段そんな表情することある?」って程豊かな表現力に圧倒され(勘違いされないように書いておきますね、めちゃ褒め言葉です。)、他の演者の方たちの声色もとても配役に合っていて、えっと、何て言えばいいのかな…“食べる”ほうの子分役の女の子の声は、特に素晴らしく、正に絵に描いたような“ハマリ役”だった。
あと、これは全ての話で言えることなのだけれど、効果音のようにBGMのように所々で奏でられるピアノの演奏がマジで最高。
言うなれば、演者さん達の話で引き寄せられ、ピアノの音で掴まれる。
そんな一つ目の話を聞き終える頃、頭の中は「何だこの面白い時間は!」でいっぱいだった。
『笑う月』
二つ目はガラリと変わって、人の心を大胆に、丁寧に編んでいくようなお話。
強さ、儚さ、脆さ、優しさ、弱さ。秒で変わってしまう人の感情を届けるための言葉の数々が、何に遮られることなく心に届くのは、演じていた三人がこの話に費やした時間の中で、たくさんの言葉の受け渡しをした結果なのかな、と思ってみたり。
知らないはずのありえない光景が、僕の中にある懐かしさの引き金に時折手をかけるのを、少し不思議に思いながらも受け入れて、何がかは分からないが、何かが深くなっていくのを感じてた。
『刺青』
この話で終始“語り”を担当していた方の安定感というか安心感というか、うまく言えないが“柱感”がすごくて。タイトルに負けないくらいの強さを持った声は、強いくせに嫌じゃない、何かそんな感じ。比較的クセの強い登場人物を演じている声にどこか開放感を感じたのは、この声に支えられてたからなのかな。予想を促し期待を裏切るように進んでいく話を聴く中で、何故か僕の頭に浮かんだ言葉は“信頼感”だった。話の内容自体もそうだけど、演者の方々の声や表情からも、何かそんなことを感じてた。
以上三つ。
どの話もどの音も心地よい引力で、あっという間に過ぎ去った時間。
各話の感想はこんな感じだったんだけど、もう一つ。
三話全てに出ていた演者の方とピアノの音が、この“ねがわくば~欲をつむぐ、語りとしらべ~”の結び目になってる気がした。なんとなくね。
会場を出る頃、あまりよろしくなかったメンタルもこの時間でもらったたくさんのもの達のおかげですっかりしっかり前を向いているし、次はもっと他の話、他の配役でも聴いてみたいと思ってた。
今日はここに来ることを決めてよかったな、
素晴らしい経験をさせてくれてありがとう。
そんなことを何度も思いつつ、
自然にいつもよりゆっくり歩いた帰り道。
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